恩師を訪ねて ~過去から未来へ、マーケティングとクリエイティブをつなぐきっかけ~

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中央大学商学部で随一の「ガチゼミ」と呼ばれる市村ゼミ。企業分析に深く取り組み、グループワークで本気の意見を戦わせる。このゼミで鍛えられて大きく成長をしたという亀田は営業に広報と渡り歩き、マーケティングをやる傍らでまったく未知の分野に触れる。ゼミでやっていた分析とは真逆のアプローチをとるクリエイティブの分野に飛び込んで数年、原点たる恩師を訪ね、仕事観について共に語った。
市村 誠
市村 誠
中央大学商学部 准教授
中央大学:http://www.chuo-u.ac.jp/index.html
市村ゼミ22期ホームページ:https://ichimura22nd.jimdo.com/

-Profile-
筑波大学社会工学類卒。同大学院修士課程経営・政策科学研究科修了。九州大学大学院経済学研究科博士後期課程。専門は経営学・財務管理論。
1992年中央大学商学部専任講師就任後、同助教授を経て、2007年より同准教授として財務管理論の授業を担当。
日本財務管理学会常任理事、日本経営財務研究学会評議員、日本学術振興会経営問題第108委員会学会委員。 
著書に共編著『経営財務の情報分析』(学分社/2015年)、中井透編『企業価値創造のマネジメント』(文眞堂/2006年)所収「企業価値と企業の資本構造再編戦略」他。

亀田 剛志
亀田 剛志
水上印刷株式会社
HP:http://www.mic-p.com/

-Profile-
企業やヒトに興味があったことから、大学で企業分析をおこなう市村ゼミに入る。大学卒業後は人材サービス会社に入り、学生向けの教育事業・新規開拓営業・広報と部署を渡り歩く。広報の仕事の際に仕事としてデザインに初めて触れ、デザインにのめり込む。
その後、飲食店を運営する会社でECサイトの運営・デザインと店舗のマーケティングを担当。印刷物のデザインの力を伸ばしたいと思い、水上印刷に入社。現在は外食チェーンクライアントのメニュー表デザインを主に担当している。


恩師、市村先生との出会い

亀田:最初に聞いておきたいのですが、当時の僕ってどんな印象でしたか?

市村:とても芯と自我が強い学生だったなと思います。そこが亀田君の魅力ですね。私のゼミはグループワークをやるゼミだったので、そういう人がいてくれるということはとても心強くて、期待しました。

亀田:光栄です。すごくやる気満々でした?

市村:やる気満々でした。当時のゼミは2年生の秋学期から始まっていたので、エントリーが2年生の5月と、早かったですよね。

亀田:企業分析を行えるゼミが市村先生のゼミともう1つしかなくて。先輩に聞いたら、市村先生のゼミは「まず入れないゼミだ」と言われました(笑)。その時、15人枠に65名くらいの応募があったんです。

市村:そのくらいはいたかもしれませんね。

亀田:倍率が高くても、市村先生のゼミには本当にどうしても入りたくて、どうやったら受かるか本気で考えました。まずは課題の小論文をしっかりやろうと思って本を読み込みましたね。ゼミに関する情報も片っ端から集めました。

あと、面接が得意だったので、そこで勝負しました。

市村:得意だったね。すごく瞬発力があった。

亀田:確か面接の日、会場に入った瞬間にハチが入ってきて、ちょっとしたトラブルになったんです。皆が「うわー」となって空気が少し緩んだので「もう、これはもらった!この空気はいけるぞ!」と思いましたね。繰り返しますが絶対ゼミに入りたかったので、面接では外さないよう、珍しいぐらい本気でしたね(笑)。

市村: ありがとう(笑)。 確か「自分の部屋が好きで、ずっと自分の部屋にいる」と言っていましたね、当時。

亀田:そんなことも言っていましたね。正直に言うと、他の授業は出ていませんでしたが、ゼミはすごく楽しくて面白かったので、僕にとっては「大学=市村ゼミ」でした。

市村:ゼミにはちゃんと来ていました。他の授業に行っていたかどうかはよく知りませんでしたけど(笑)、ゼミは一回も休まないくらいでしたね。

亀田:ほぼ皆勤だと思います。
水上印刷もそういう雰囲気なんですが、アットホームなゼミで居心地がよかったです。でも発表になると、皆本気なんですよ。企業分析して二社比較して、レジュメを束にして作って発表する。それで質問のコーナーになるとものすごい。

市村:質問が50も100も、次々出てきて。

亀田:その場で答えられないものは「ちょっと待って、メモするから!」と言って、宿題にさせてもらうことも多かったです。しかも最後の先生の質問が、一番エグい (笑)。

市村:いやあ、そんなことはない。全然そんなことはない、易しい(笑)。

亀田:そこで、一番聞かれちゃマズい点を突かれるんですよ(笑)。そこでいつも鍛えられてきました。

市村ゼミのメイン、二泊三日の合宿発表

亀田:合宿が市村ゼミの一番のメインでしたね。二泊三日の合宿で発表、遊び時間は無し。

市村:そうですね。普段は合宿に向けての準備で、合宿が常に節目の集大成。合宿では、自分たちで好きなように企業を分析して発表する。一班だいたい4時間くらい。僕がそうしているのではなくて、学生諸君が作ってくるスケジュールがそうなっている。

亀田:4時間で収まらなかったですよ(笑)。合宿で発表する企業とテーマだけを決めてから、三年生は夏休みのほとんどを使って100枚くらいのレジュメを作るんですよね。

市村:今年の研究で一番分厚いのは160ページですよ。

亀田:絶対、合宿中には終わらないですね(笑)。 

市村:ページ数も時間も、制限をしないので。昔から「好きなだけやって」と言っています。まとめるというよりも、思いのたけを全部ぶつけてほしい。まとめに入るのは、社会人になってからでいいだろうと(笑)。学生時代は好きなようにやってもらいたい。

亀田:まとまった記憶がないですね。すでに合宿発表の前に、どの班もグループ内で方向性が合わなくて絶対もめていました。

市村:グループ内でも意見が違って。発表している最中も、同じグループの人が「いやそれは違うだろう」と言い出す(笑)。

亀田:そこで違った視点から何か言うと「余計なこと言うな」と(笑)。でも発表を見ていると「冷静に考えたらこれはこうじゃない?」という、違う視点が絶対に出てくる。そういう楽しいゼミでした。言い合うときは本気で言い合っていましたよね。喧嘩になるんじゃないか、というくらい(笑)。

市村:常にブレインストーミングをやっているような感じで、コンセンサスは得られない(笑)。ゴールがない。

亀田:誰も仕切るとか考えない、自分の言いたいことを言う。終わった後、飲み会かと思いきや、打ち合わせや発表準備になってまた言い合って、結局寝ない。

市村:発表が終わった人だけ飲める(笑)。

亀田:順番は超重要でしたね(笑)。あれだけ自己主張をして言い合ったのは、いい経験でしたね。おかげで、社会人になった今、その経験が活きています。

いかに、自分で目標を設定できるか?

市村:ちょうどこのあいだの春合宿について、今年卒業するゼミ長のコメントがあったんです。「市村ゼミは目標が設定されないゼミなので、いかに自分で目標を作るかが大事なんです。」

亀田:僕もゼミに入った当時に聞いた言葉で、今でも覚えています。

市村:誰かに教わったり、設定された目標に向かってやったりするのではなくて「自分で決めてやってください」と。

亀田:みんなそれぞれ違う目標を立てて進んでいくから、当然ぶつかり合う。ぶつかるけど、終わったら仲良し。そういうゼミを2年半ガッツリやってきて、最後が震災の年だったんですよね。卒業する年に東日本大震災があって、卒論の発表と卒業式がなくなっちゃった。

市村:卒業式の前に、卒論を一人一人に発表してもらう。4年生だけでなく、3年生と2年生の前でね。震災でできなくなってしまったのが、心残りでしたね。

亀田:そうでしたね、仕方ないと思いましたけど。卒論発表会は、個人の集大成みたいな感じでしたよね。僕の卒論のタイトルは「生きた組織とは」でした。内容は組織論から人的資源についてでしたね。その頃から“人”や“組織”に興味があったので。

市村:テーマは商学部で学んだことに関わる内容だったら何でも。学生自身のパッションに任せていましたね。

亀田:自分で目標を決めてやり通す。その経験は社会人になってからも、新しい学びに繋がりました。自分の責任で回していると、失敗しても「自分で決めたんだから」と自身の振り返りが自然に出来ますし、またチャレンジしようと思えるようになりましたね。

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