グラフィックデザインの世界に惹かれ、DTPオペレーターとして邁進した2年間。
オペレーターからディレクターへとシフトした今、現在の自分にこの業界の基礎を教えてくれた母校を訪ねる。
にぎやかだった学生時代の思い出や自身の就職活動を振り返る内、話は「これから」のことへ。
結婚、妊娠、子育て。
取り巻く環境が変化していく中で、働く女性が意識していかなくてはいけないこととは?
恩師を訪ねて第五弾、
母親と教員を両立する東京デザイン専門学校の山田綾子先生とともに、ハードなデザイン業界における女性たちの活躍について考える。
東京デザイン専門学校
ビジュアルデザイン科学科長
-Profile-
東京デザイン専門学校 グラフィックデザイン科 卒業。
デザインプロダクションにて主に広告関係の仕事に携わり、その後同校の専任教員として勤務。
デザインの基礎科目や広告デザインの授業を担当。
また、就職部として学生の就職指導も行っている。
現在はビジュアルデザイン科学科長。
水上印刷株式会社
営業本部第五事業部 チーフ
-Profile-
グラフィック系の仕事に興味を持ち、東京デザイン専門学校 グラフィックデザイン科にて専門知識を学ぶ。DTPオペレーターという職種を知り、2010年に専門学校へ求人が来ていた水上印刷株式会社へ入社。入社後は制作部に配属。DTPの基礎を学んだ後、食べることが大好きなこともありフード系の仕事に携わるようになる。
現在はDTPだけでなく、編集業務も担当。「見ているだけで美味しい。食べて二度美味しい」メニュー作りを追求している。
パワフルなクラスの就職活動
高橋:当時の私のイメージをお聞きしてもいいですか?
山田:高橋さんはすごく明るくて、元気だったね。
私は高橋さんが一年生の時しか授業を受け持っていないんですけど、すごくにぎやかなクラスで。私が今まで結構長くやってきた中でも一、二を争うにぎやかさでしたね。エネルギーがいっぱいあって、遊びたいだけじゃなくてちゃんと課題もやっていて、人懐こい感じのクラスの一人でしたね。
高橋:みんな「わー!」という感じでしたもんね。
山田:うん、すごかったね。
担任をしていないクラスで、一年時の授業しか受け持ってないのにとても記憶に残っています。元気なクラスだったのもあるし、なんか学年が変わる時に寄せ書きをくれたんだよね。
高橋:渡しましたね!
山田:卒業するクラスでは寄せ書きを貰うこともあるけど、進級時に担任でもない私が寄せ書きをもらうことはなかったので。似顔絵が描いてある寄せ書きを貰って「このクラスは優しいな」と思ったのをよく覚えています。色紙はまだ家にありますよ(笑)。
高橋:ほんとですか?
山田:うん。
あの頃は私も若かったので、授業中に板書をしていると後ろから「先生、今日の服かわいい」とか“かわいいコール”があって、すごく居心地が良かった(笑)。
高橋:「今日もかわいいですね」ってみんなで言っていましたもんね(笑)。
山田:そんなことあんまりないんです。それがすごく印象的だった(笑)。
そんなクラスだったかなあ。
高橋:ほんと騒がしくして申し訳なかったなって。
山田:でもね、あの時に「元気なクラスはやる気もあるのかもしれない」と思ったの。反応の少ないクラスも結構多いので、そういうのを考えると「にぎやかなくらいのほうが意外とパワーがあって、課題も元気なのかもしれないね」、みたいなことを教師陣でも言っていたんです。
高橋:そうなんですか?
山田:そう。
あと覚えているのは、最初の課題を返却した時のことですね。課題の評価が書いてあったんですけど、高橋さんは大きな声で「私○○だった~!」と言っていて、それにはすごくビックリした(笑)。
高橋:全然覚えてない!(笑)
山田:普通は黙ってもらっていく子が多いんです。でも、そのクラスは「どうだった~!?」という感じで、ものすごく盛り上がって。とても大きな声で言ったのを覚えている。
高橋:そうなんですよね、あのクラスはみんな全然成績を隠さなかったので。
山田:その学年は就職活動もすごくオープンで。「あそこ行った?」とか「あそこの社長はどうだった」とか「今度あそこ行ってみたら?」とか、そういう情報を交換し合って明るく就活している感じでしたね。
高橋:みんなすごく就活やっていましたね。確かにオープンだった。
山田:自分が落ちてしまっても「じゃあ○○行ってみれば?」と他の人に行かせたりとか、「ここの会社面白いから行ってみなよ!」と勧めていたり、他のクラスになった時もなるべくみんなで情報交換して。
今の生徒たちに「こんなふうにやっていたクラスもあるから」と言ったりするんですけど、なかなか言われて出来ることでもないのかな。今はあまり言いたくない子が多いみたい。
高橋:え、そうなんですか?
山田:うん。落ちたことも言いたくないだろうし、どういう活動しているかとかも。親しい子たちとは話しているんだと思うけど、クラスの中ではあんまり大きな声で言わない子が多いですかね。
高橋:そうなんですか。うちのクラスなんて、みんな誰がどこ受けているのか大体知っていましたね。
山田:それはすごく珍しいクラスかな(笑)
そうやって情報共有してくれると指導するほうもやりやすいんだけど、自分の中に収めてやっている子が多いと思います。
だから特殊な学年、クラスだった。
高橋:確かに。特殊なクラス……だったのかもな~と、今聞いて思いました(笑)。
当時は同じように就職活動をしている仲間同士だからこそ、共有できる悩みや情報があって、話すことで整理されたことが面接で活きていたんだなと感じます。
「こんな質問をしたらその企業のことがわかるし、自分のことも知ってもらえるんじゃないか」といったことを友人に聞くのは非常に参考になりましたね。
こう見えても緊張するときはするので、友達と話すことで面接で上手く話せるようになったと思います。
山田:高橋さん、変わらないですよね。なんかパワーアップしている感じがするけど(笑)。
やっぱり色々経験も積んで、更に自信もついてきて?
高橋:そうですね。最初ドーンと落ち込んだところから始まって。もう入社当時は全然出来なくて「どうしよう、どうしよう」ってなっていました。そうしたらきっかけがあって、今の食べ物系の仕事に少しずつシフトしていって。そこからちょっとずつ自信がついてきて。
山田:今何年目でしたっけ?
高橋:今8年目ですね。
山田:なるほど、それはほんとにいろんな経験が(笑)。
高橋:ありました(笑)。
山田:そうだよね。同じ場所に8年というのは今なかなかないので、よかったですね。
高橋:はい、今の会社に入れてよかったです。
就職活動時はリーマンショックが起きて、大変でした。
だからこそ、だめでもともとだと思って何社も受けていたんですけど、その時も自分の就職活動の状況を話して、色々聞いてよかったと思います。
バイト先の大学生の友達は、専門学校とはまた就職活動の仕方が違っていて、受ける数も多かったので「ダメだった~」と私がへこんでいても「大丈夫、大丈夫! 私もっと落ちているから!」と言ってもらって、すごく励みになりましたね。
大変だったからこそ、会社で大変なことがあっても乗り越えられたんだと思います。