ニッポン総転職時代に目指すハッピーキャリア

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ニッポン総転職時代に目指すハッピーキャリア


終身雇用という考え方が崩壊した現在、転職はもはや当たり前。即戦力や優秀な人材の獲得を図る企業からの求人も増えることで人材の流動性が高まり、転職へのハードルが低くなっている。また、キャリアアップや自己実現のみならず、従来あまり考えられなかった「格上企業への挑戦」という捉え方をする人も現れているからである。他方、安定した雇用を望みながらも、残るべきか移るべきかでキャリアプランに悩みを抱える人も絶えない。
転職で成功する人、しない人の差は? 望む人材を採用できる企業とうまくいかない企業は、いったい何が違うのか?
自分なりのハッピーキャリアをどのように築いていくのか。

総合人材サービスのインテリジェンスで法人営業を担当し、自らも転職経験を持つ綿古里氏にお話を伺った。


綿古里 美穂
株式会社インテリジェンス
キャリアディビジョン
採用企画事業部 ゼネラルグループ
リクルーティングコンサルタント

HP:http://www.inte.co.jp/

-Profile-
2012年、神奈川大学経済学部現代ビジネス学科卒業後、ライクスタッフィング株式会社(元・ジェイコム株式会社)にて営業として従事。派遣領域における法・個人営業を担当。担当業界は通信業界。
その後、半年の離職期間を経て、株式会社インテリジェンスに中途入社。法人に対して、中途採用におけるコンサルティング営業として従事。主に金融業界を中心に担当。「採用」を楽しんでもらいたいという思いを胸に、中途採用の枠組みを超えクライアントとともに「人材」の課題に向き合っている。
遠藤 拓哉
遠藤 拓哉
水上印刷株式会社
ICT革新部次長

HP:http://www.mic-p.com/

-Profile-
大学卒業後、NTTデータに入社。流通業界向けのITソリューション営業の後、人材開発コンサルタントや公共・金融分野の人事人材開発のプロジェクトリーダーとしてグローバル人材等に携わった後、2016年1月水上印刷株式会社にICT革新部の部門長として参画。
「攻めのIT経営」とグローバル化を推進するため、社内ベンチャーさながらのスタンスでお客様や世の中への貢献と会社の成長に向けて旗を振る。
“情熱は世界をより素晴らしいものにできる”をテーマに情熱人にスポットをあてた本Digital Magazine「The PASSION」の共同編集長を務める。

「ヒト」と関わる仕事を選んで

遠藤: まず、綿古里さんの経歴からお話ししてもらえますか?

綿古里: 大学を卒業後、新卒で入った派遣会社に2年と少し在籍していました。離職して半年後、インテリジェンスに入社しました。

遠藤: 何故「人材」に関わる職を選んだんですか?

綿古里: 就職先を探す際に「どうやって死にたいかな」と、人生の終わり方を考えるところから私はスタートしたんです。社会人の先輩にアドバイスされて、そういうふうに考えるようになったんですけど。
一人きりでなんとなく亡くなってしまったではなくて、子供や孫に囲まれて、自分がいることによる影響を与えていきたいな、と。良い影響を及ぼして「あの人がいたからこうだったね」というのがあったらいいなあと思ったんです。「良い影響ってなんだろう」「良い影響を及ぼせる仕事ってなにがいいんだろう」と考え続けました。

遠藤: 仕事がいろいろある中で「ヒト」に目を向けた、と。

綿古里: 当時は起業をしたり、飲食店とかもやりたかったし憧れていたんですけれど、「会社はどのように成り立っているんだろう?」と考えたときに「ヒト、モノ、カネ、情報(IT)」かなと。だから、このどれかのプロになったらいいのではないかと思いました。
この中で「カネ」は当時興味がなく、「モノ」は自分の自信があるものしか売れない。「情報(IT)」の分野はすこぶる苦手。それで「ヒト」が残ったわけなんですけど、もともと人が好きだったということもありました。

また、大学生の時にブライダル業界でアルバイトをしていて、その業界にも憧れたんですけど、ブライダルは幸せな人を幸せにする、幸せなままにする仕事なので、困っている人を幸せにするほうが影響力の幅が大きいのかなと。「ヒト」と関わる仕事の中でも「人材」を選んだのはそう考えたからです。

遠藤: それで実際どうでしたか? 「ヒト」を仕事として働き始めて。

綿古里: できるだけいろいろな仕事をしたいと思っていたので、多くのことを任せてもらえそうな中小企業に絞って転職活動をしました。派遣会社や人材紹介会社というくくりはなく、人材サービスの会社として受けてみて、「最初に受かったところがもう運命なんだな」と思って決めました。それで「両手型」の派遣会社に決めました。

遠藤: 両手型って何ですか?

綿古里: 仕事を求めるスタッフさんも持ちますし、人材を派遣して欲しいクライアントさんも持つという。一人二役なタイプですね。

遠藤: 働きたい人を募集する役割と、クライアント企業を開拓する役割は別々に担う印象があるのですが、両手型というのもあるんですね。
いうなれば、個人営業と法人営業を兼務する感じだと思うんですが、どっちが楽しいとかありますか?

綿古里: 両方、楽しいです。楽しくやっていましたが、やっているうちに悔しいことも出てきて、それが転職に繋がっていきましたね。

「両手型」の派遣会社へ

目指す営業スタイルへ、転職でステップアップ

綿古里: 人材派遣というのは、企業側からすると「将来うちに入ってほしい人」ではなくて「今一瞬欲しい人」なんですよ。せっかく派遣会社にいたのでそういう考え方をできれば変えたかったんですよね。
派遣はもっと意味のあるものだってクライアント企業に伝えたかったのですが、そのために必要な「考える営業」が忙しさに追われてできなかったんです。

基本は土日休みですが、サービス業の担当だったので土日の連絡もありました。
「こなす営業」や「足を使う営業」、「人に気に入られる営業」はできましたけど、「何でこの人が必要なんだろう。もう少し違う人が必要なのではないか?」と考ることや、もっと経営に近い部分で携わること等は難しかった。

遠藤: 私の知っている派遣会社の営業さんも抱えている案件が多く、忙しそうな印象はもっていたのですが、大変な業務量なんですね。

綿古里: 働く意欲をもった人に向かい合い、誰一人として手を抜かなかったということは自信をもって言えますが、「考える営業」はできませんでした。
それですごく印象に残っているのが、しばらく病気などで働けなかったけれど社会復帰したいという人からのご相談に、紹介できる案件がなかったんです。自分の顧客に確認し、他の営業にも「こういう人がいらっしゃるのですが、案件ないですか?」と聞いても結局は見つけ出せませんでした。

私がもっと上の人とやりとりできたら、企業の考え方が変わったかもしれない。
それができなくてすごく悔しくて。

遠藤: それは難しいですよね。難しいというか、重いですね。そこまで背負うというのは。

綿古里: はい。私はその人の人生を預かっていると思って仕事をしていました。

遠藤: 新卒で、入って直ぐに企業と個人の両方を背負って動けるというのはすごいですね。

綿古里: まあ、誰でも出来ますよ(笑)。

遠藤: えー!?

綿古里: 頭を使うというよりは、足を使って親身になるということができれば。

遠藤: うーん、そうかなあ。自分がやれと言われても、イメージが湧かないですね。
私が入社一年目で新規営業していた頃、お客様のところに行っても自分はたいしたことを話せていないなあ、という感覚がありましたね。向こうは饒舌な情報システム部の課長さんとか部長さんですし。まだまだ自覚が足りなかったのかもしれません。やったことは結果として、自分の経験につながりましたけど。

綿古里: 私の業務は営業という感じではなかったんです。提案するというよりも、いかに良い関係を築いて新規の案件を早くもらうかというスタイルだったので。

遠藤: でも、しっかり話を聞いてクライアントの事業を理解し、こんな人が必要だというのがわからないと紹介しようがないのでは?

綿古里: 職種が限られていたので、そこの理解はあまり難しいことではなかったですね。

遠藤: なるほど。それで忙しくて思うように「考える営業」が出来ないジレンマが募っていった感じですか。

綿古里: 個人を幸せにするという目標が自分は達成できているのかなと、ふと思ったんです。

遠藤: 原点回帰を?

綿古里: そうですね、それに近いかな。ですから、在職中は転職活動をせずに一度考える時間をとろうと思って辞めました。

遠藤: それもすごく勇気がいることだと思うんですね。次を決めてから辞めようというのが転職の基本かと思うのですが、実際どうですか? 間が空く人もいらっしゃるとは思うのですが。

綿古里: 間を空ける人はあんまりいないですね。人材紹介会社だと「離職期間が空いている人はいまいちですよ」、という判断をもらうことが多いです。私も離職期間は半年でしたが、ぎりぎりと言われました。

遠藤: きちんとした意図があって、半年や一年の間仕事を離れても私は仕事ができるという自信があれば強気になれるかもしれないですけど。世間から離れるということは戻るのが簡単ではなくなるし、企業側も色々な見方をしますよね。

綿古里: そうですね。私の場合は、最初から改めて考えたかったですし、前の会社の仕事もやりきりたかったのが大きかったです。変にまじめだっただけかもしれないですけどね。

遠藤: すごいです。

綿古里: 一度考える期間をおいて、結局また人材の業界に戻ってきたんですけどね。

遠藤: 他の選択肢についても考えたのですか?

目指す営業スタイルへ、転職でステップアップ

綿古里: もともと興味があったブライダルも考えましたし、イベント系の営業やサービス業も考えたんですけど、例えばサービス業の仕事は瞬発力が勝負なんですね。そこは鍛えられるのですが、一瞬一瞬の対応というのは自分がやりたかった「考える営業」とは少し違うのかな、と。

遠藤: やりたい仕事を掘り下げた結果、原点に行き着いたのですね。

綿古里: だと思います。ずっと語れるのは「人材」の話なんですよね。すると、やっぱり人材サービスの仕事が合っているのかな、という感じでインテリジェンスに入りました。

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