恩師を訪ねて~古英語の海原に舟を編む~

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今ワクワクするものは?

村山: 20年近くかけて作った辞書ができて、今先生はなににわくわくしますか?

小島: 大きい仕事はもう終わって、次はね、昔から考えてる「ベオウルフ」(英文学最古の叙事詩。英雄ベオウルフの冒険譚)を出来れば自費出版したいんです。

写真:ベオウルフ

村山: おお!

小島: ものすごくお金かかるんだけど。しかも本の淵の部分を天金(本の天の部分に金をつける小口装飾の一種)にしたいの。

村山: おお~!

小島: ノートはもう結構作ってあって、計画も出来てるんだけど、やるかやらないかはまだわからない。

村山: え、やらないかもしれない?

小島: やらないかもしれない。

村山: ええ~!先生それは本の形にしましょう。電子ブックはやめてください。天金にできないし(笑)

小島: 要するに「誰でも読めるベオウルフ」って本を書きたいの。

村山: ああ!それは是非読みたい!

小島: もちろん日本語訳もつけて。で、文法説明をものすごく詳しく書くと。大体ここで躓いちゃうわけだよね。

村山: そうですね。でもなんで「ベオウルフ」なんですか?

小島: やっぱり一番有名だし、ゼミでも延々「ベオウルフ」をやってるんだけど、ゼミに来た学生にやっぱり「古英語やりました」「なに読んだ?」ってその時に「ベオウルフ」って言えないと可哀想だから。
だからそれをもう昔から書きためた手書きのノートをワードに入れて、全部移し替えて。ただそれ全部英語で書いちゃってあるから日本語にするのが大変(笑)

村山: (笑)

小島: 今はそういうようなことをのんびりと。

村山: それは楽しみ。先生、是非形にしてください。

就活生・学生へ向けて

村山: 先生、最後に、就活生・学生さんたちに向けてメッセージをお願いします。

小島: 特に最近、学生へは「己を解放しろ」ってことをよく言うの。どうしてもね、周りに気ばかり遣っちゃって、自分でなんにも出来なくて。こうやったらみんなにこう言われるんじゃないかとか、そういう人たちがすごく多いので。そうじゃないのもたまにいて、よくゼミに入ってくるんだけども。

村山: そういう人がね、集まりやすいゼミなの(笑)

小島: だからそんなことね、どうでもいいんだよ。「俺は俺だ」をやれ、ということはよく話をするの。それと、「今が一番大事ですよ」って。「もう今しかないんですよ」って。いじれるのは今だけ。過去はいじれない。未来もいじれない。だから今をいじっとかないと、って。

村山: そうですね。学生のあの時の「今をいじってた」ことが、今日につながっているということなんですね。過去にさかのぼって、学生の時の私に「30年後にこの研究室で先生にインタビューをするんだよ」なんて教えても、信じられないだろうなぁ(笑)

先生、本当に今日はありがとうございました。
では、ゆうさんもお待ちかねですので、この続きはいつもの居酒屋さんで(笑)

写真:就活生・学生へ向けて

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