日本を救う外国人高度人材採用!#6「世界から見た日本人ビジネスマンの評価」

日本を救う外国人高度人材採用!#6「世界から見た日本人ビジネスマンの評価」


2016年8月22日、ベトナム中部最大の都市・ダナン市に日本企業への就職を目的として日本語・ビジネススキル教育を無償で提供する「日本センター」の1校目が開校された。1期目、50人の枠に応募したのはベトナムの大学生から社会人まで約1200名。最低4ヶ月の教育の後、日本企業とのマッチングが開始される。
日本国内の少子化による慢性的な人材不足の問題に対し、無償の学校という今までになかったアプローチを仕掛けるのはフォースバレー・コンシェルジュ株式会社・代表取締役社長 柴崎洋平。
日本が抱える労働人口減少問題、そして今や経済大国から没落しつつある日本が、グローバルでの採用競争において何をすべきか。「クロスボーダー採用市場の創造」をミッションに掲げ、今期更に6ヶ国8校の開校を予定している躍進する経営者に、リアルな現状を語って貰った。

柴崎 洋平
柴崎 洋平
フォースバレー・コンシェルジュ株式会社
代表取締役社長
HP:http://www.4th-valley.com/
-Profile-
フォースバレー・コンシェルジュ株式会社 代表取締役社長
1975年東京生まれ。幼少期をロンドンで過ごす。
上智大学卒業後、ソニー株式会社に入社。携帯電話向けカメラの商品企画、半導体の営業・マーケティング、PlayStation3のフォーマット普及に従事。世界を代表する多くのグローバル企業と世界中でビジネスを行う。
2007年ソニー株式会社退社後、同年、フォースバレー・コンシェルジュ株式会社設立。
上智大学非常勤講師(2013年~2016年)。武蔵野大学アドバイザー。世界経済フォーラム(ダボス会議)Young Global Leaders 2013選出。
河合 克也
河合 克也
水上印刷株式会社
代表取締役社長
HP:http://www.mic-p.com/
-Profile-
2002年、早稲田大学商学部を卒業後、大手FA電機機器メーカーに入社。2007年より水上印刷の経営戦略に参画し、経済産業省商務情報政策局情報政策課への転籍を経験した後、2014年に代表取締役社長に就任。
「製造とサービスの融合」を核のビジネスモデルとして掲げ、その基礎となる「ひとづくり」を経営の中心に据える。「お客様の面倒くさいをすべて引き受ける」をコンセプトに、マーケティング、クリエイティブ、ものづくり、 フルフィルメント、ロジスティクス、ICTを自社で一貫して保有し、小売流通企業の販促プロセスにイノベーションを起こしている。
2013年「おもてなし経営企業50選」、2014年「グルーバルニッチトップ企業100選」を受賞。
“情熱は世界をより素晴らしいものにできる”をテーマに情熱人にスポットをあてたDigital Magazine「The PASSION」の共同編集長を務める。

1 2 3 4 5 6

#6「世界から見た日本人ビジネスマンの評価」

日本人が世界の舞台で活躍する日

河合: 最後のテーマです。日本企業は、アジアの人材を欲しがっている。これは実感としても納得です。一方で、「クロスボーダー採用」という点でいうと、日本人を欲しがっている外国の企業はないのか?という疑問があるんですが、この点、どのように見られてますか?

柴崎: 私は、日本人が圧倒的に強いところは、やはり「エンジニアリング」だと思っています。

河合: エンジニアリング。つまり、技術やものづくりといったことですか?

柴崎: はい。理工系の人間の、真摯に、着実に、研究開発していく強さは日本人が圧倒的に持っていると思います。それはSONYに在籍していた時に、強く感じました。気質として、他の会社の方がちょっと給料が良いからすぐ転職する、ということがなくて、明日明後日のことよりは、10年、数十年先の未来を切り開くということで研究開発する、コツコツと毎日やる、というのが日本のエンジニアのマインドにはあると思います。

河合: それはすごく納得ですね。

柴崎: そして、どの領域でも本当にこだわっている人が多い。これは、一緒に働いていて、リスペクトと、驚きと、色んな想いがいつもありましたよ。頼もしいなって。

河合: 一方で、文系というか、経営、マネジメントの世界ではいかがですか?

柴崎: 残念ながら、「弱い」と実感せざるをえません。経営力も、マーケティング力も、ネゴシエーションも、プレゼン力も。

河合: ノーベル賞や、世界に名だたる研究者はいても、相対的にそのクラスのマネジメントのプロみたいな人ってなかなか出てきませんもんね。

写真:日本人が世界の舞台で活躍する日

柴崎: なので、やっぱり日本はエンジニアリング、ものづくりの国でしょう。
ただ、今は突然世界を変えるようなITのサービス、AIが世界の主流となっている。そうすると、日本のコツコツみたいな強みが、効かなくなってきていますよね。ただし、個人的には、またいずれ日本が覇権を取り返せる日が来ると、本気で思っています。

例えば、一番分かりやすいのでいうと「自動運転」。

河合: 自動運転?

柴崎: Googleなんかが参入し、一気にIT屋の世界になるんじゃないかと言われているけども、やっぱりあれも、ちゃんと道を走りながら、ちょっとずつ道を修正していくっていう、匠の世界というか、やっぱり日本人的気質に合う世界だなと私は思っているんですけどね。

河合: なるほど。日本はやはり、技術開発には優れた気質を持っている。だから、経営に近い人間が、その方向性を上手く変えてあげて、サービス化、プラットフォーム、マネタイズを抑えていけば、IT・AIの時代にもう一度輝くことは可能でしょうね。

柴崎: 話を戻して、冒頭の河合さんからの質問、「日本人を欲しがっている外国の企業はないのか?」ということですが、残念ながらこれは「ありません」。

河合: 断言ですね。日本人を欲しがるグローバルカンパニーはないと?

柴崎: 少し語弊はありますが、正確には、「日本人を特定して求める会社はない」といことです。ただし、優秀であれば国籍は問いません、もちろん日本人でも、何人でもいいです、という会社はもちろんいくつもあります。ただし、ここに日本人が割り込むのに決定的に欠けているのは、「専門性」と「経験」です。特に、大学生。新卒レベルでいうと、インターン経験も乏しく、特に文系人間に専門性は全くない。入社してもすることがない。

河合: 日本の大学生に、実務で通用する専門性と経験を問うと、これは皆無ですね。自分を思い返しても、目も当てられない(笑)

柴崎: スポーツばっかりやっているわけです。私はアメフトばっかやっていました(笑)
でも、海外でいうと、それってちょっと信じがたいんですよね。たとえ文系であっても、在学中に自分の専門を徹底的に突き詰めて、それを更に実務に適応できるような経験を得るためにインターンがある。海外の先進国では、そういうことをずっとやっていて、しかも競争が激しい。卒業も厳しい。こういうエリートと比較すると、日本人は英語力も大分乏しい。なんで敢えて日本人なの?となるのが海外採用担当者の本音です。

河合: 企業側のスタンスも影響しているように思いますね。例えば、日本企業の良さの一つは、総じて「社員教育に力を注いでいる」こと。入社後の社員教育を前提に、ポテンシャルと人柄を重視して採用判断をする傾向にあり、在学中に、スポーツや遊びも含めて、好きなことに打ち込むことを良しとしている。
一方で、世界で戦う企業は、社員教育よりもむしろ、「成果をあげる人材を、世界中から高い報酬で集めてくること」に注力している。ここに入社しようと思えば、当然新卒であっても実力がなければだめで、彼らは大学在学中から実務で通用するためのスキルを、しっかりと養うことに時間を使っている。新卒時点でのビジネスレベルの差、マインドの差はかなり大きいでしょうね。

柴崎: それから、経済大国からの没落も、グローバル採用における日本人不人気につながっています。例えば、面接、スペックの評価は同じ中国人と日本人とを比べる時に、中国には巨大な、今だに伸び続けているマーケットがある。日本のマーケットは、もうあまり興味をもたれなくなっている。そうすると、中国マーケットに精通した、やはり中国人を採っておこうと、こうなる。これが残念ながら今の現状ですね。

河合: 日本人がもっと世界で戦えるようになるためには、大学の教育制度、そして新卒一括採用の仕組みなど、根幹の部分から、あらゆる見直しをかけていかなければならない、ということでしょうね。

柴崎さん、ありがとうございます。今回のお話を通じて、またいろんな課題が見えてきました。

柴崎: いや、こちらこそ大変ありがとうございました。

写真:日本を救う外国人高度人材採用!

#1 クロスボーダー人材獲得支援事業に辿り着くまで
#2 減る日本と一筋の光
#3 アジア各国での無償日本語学校の設立
#4 アジアの若者から見た日本で働く魅力とは?
#5 クロスボーダー採用が中小企業を救う?
#6 世界から見た日本人ビジネスマンの評価

最近の投稿