強くありたい、優しくありたいと必死で生きている人が好き。


前回は、風力発電事業への想いなどをお聞かせいただきました。その中で吉住さんとお話していると感じる「力強さ」と「優しさ」。
その原点を垣間見れたような気がします。最終話、ぜひご覧ください。

吉住 謙

HP:http://css-holdings.com/index.html/
-Profile-

中央大学商学部卒業。株式会社トーメン(現、豊田通商株式会社)に入社、船舶海洋機器部に所属。その後電力事業本部に異動し、日米欧の多くの風力発電事業に携わる。2001年に株式会社ウィンネックスを設立、2002年に株式会社ウィンドバンクを設立し、九州、四国、中国、東北及び北海道で大規模風力発電事業のデベロップメントを推進。2013年に株式会社CSSを設立し、大型メガソーラー事業を全国で開発しながら、大規模風力発電事業のデベロップメントを推進。現在、北海道及び東北地方を中心に、多数の大型再エネプロジェクトを自社で保有・運営し、今後は全精力を傾けて過去最大規模の事業開発に挑む。

できるビジネスマンは何が違うと思いますか?

できるビジネスマンという定義自体がよく分かっていないですが、確かに僕の周りにも「この人やるな~」って思う人何人かいます。非常にシンプルに言えば、やっぱり頭が良くてメンタルがいいですよね。ハートが健全です。

頭がいいっていうのはどういうことですか?

さっき言ったように俯瞰して見れるとか、判断が早いとか、複雑なことをシンプルに考えられるといった能力を持ってる人たちです。

そして、しなやかですよね。いちいち肩に力をぐーっと込めない。どっちかというと僕なんてぐーってやっちゃう方ですから。だいぶ歳をとって減ってきましたけど、そういうできるビジネスマンっていうのは、若い頃からしなやかに生きてるんじゃないですかね。何にも力を入れないで。僕なんていつもガチガチですからね(笑)

私もいつもガチガチです(笑)

彼らはガチガチじゃないですからね。しなやかですよ。いちいち怒らないし。

メンタルがいいっていうのはどういうことですか?

さっき言ったハートが健全だってことかな。考え方が真っ当ですよね。余計なこと、意地悪とか人の足を引っ張るとか、そういったことを考えていないですよね。そして何かにとらわれないしなやかさを、生まれつきなのか訓練なのかわかりませんが、そういうのを持ってる人は、できるビジネスマンだと思いますよ。

重松さんの周りにもできるビジネスマンたくさんいるんじゃないですか?

そうですね、素敵な方、たくさんいらっしゃいますね。

いい男、いい女ってどういう人ですか?

男女の区分無く、強くて優しい人ですね。どんなにできる男でも、人としてリスペクトできないとつまらない。いいなあと思う女性でも、人として「何こいつ?」って思ったら、どんな美人でも口もききたくなくなりますよね。

どこでそういう部分を判断されるんですか?

そう局面って結構ありませんか?

例えばお金が無くなりましたとか、仕事がうまく行きませんとか。そういう辛い時に強くて優しいっていうのはものすごく大事なことだなと思います。

強くて優しい人だったら僕は大抵許してしまいますね。

一方で人間って弱いってところないですか?

もちろんです。だからこそ、弱い部分を垂れ流して生きている人が嫌なのかもしれない。

でもね、強くて優しい人って僕はよく言いますけど、強くて正しい人だとは言いません。正しいことをやるのが強いことだとも思わないし、モラルがしっかりしている人がいいとも思わない。でも、強くなきゃ優しくなれないじゃないですか。優しくいたい人は、強くなろうと必死になって子供の頃から生きるんじゃないんですかね、皆。

 

そういうことですよね。強くなりたいとか優しくなりたいと思って、努力してきた人が好きってことですか?

もちろん努力もあるのかもしれないけど。

もっと感覚的に言えば、僕にとっていい男いい女って、いいやつですね。あるいは強く優しくあろうとヒーヒー言って必死になってるやつかもしれない。

迷った時には、どう選びますか?

直感です。その時に直感に従わないと損するような気がします。

あと、最近損すると思うのは、これは反省を込めてですけど、お金をケチると損する。だからケチらないように頑張ってます。直感を信じて。

男って、基本的にケチなんですよ。何かを選ぼうと思うと、なぜか経済観念が顔を出してくる。だから基本的に安い方に行きたがるんです。

だから物も捨てられないですよね。僕なんて外食で食べ物が残ると、必ず「ドギーバックに入れてくれ」って言いますから。「やめなっ」って言われても、毎回言いますからね(笑)。

この、直感を鍛えようと思ってらっしゃいますか?

直感を鍛えるのは簡単ではないでしょうね。

大事なのは自分が幸せな生き方を求めていくことじゃないですか。幸せ、幸運、ツキという、そういう大きなストリーム、流れにしっかりと自分が乗っていってる中での直感が大事なんだと思います。ただ人間は、くすぶりの時期もあるし、いろんな時期がありますから、そういう自分を抱えながらも、やっぱり自分がしっかりと成功の軌跡を求めていくメンタルが求められてくるような気がします。それはさっき言った強くありたい、優しくありたいって、必死になって生きてる中で生まれてくる自然な流れだと思います。

座右の銘を教えてください。

「虫りんりん、嵐の中を啼き止まず」。吉川英治先生の言葉で、すごく好きです。

どういう意味ですか?嵐にかき消されてるとも知らずにりんりん鳴き続けてる?

それは違いますよ~(笑)

例えば、英語を日本語に訳すと、原文の詩的な部分ってポロポロポロポロ落っこちてしまうじゃないですか。だから詩的なものって、そのまんま理解しないといけないんですよ。古典は古典のまま、英語は英語のまま理解しないといけない。そしてそれは、自身の心で理解するものであって、解説するべきものではないと思います。

なので、こういう説明なんかすると、どんどん味気がなくなってくるんで嫌なんですが・・・。

色々と捉え方はあると思いますけど、僕が感じるのは、虫っていうのは弱い人間のことです。それがたくさんの嵐のようなつらいことがあっても、必死になって啼き続けて絶対啼くことを止めないという、小さいものの強さとか、弱いものの一生懸命さやひたむきさみたいなものです。

風も雨も強くなり、嵐が激しくなってきたというのに、小さい虫は変わらず朝まで必死になってりんりんりんりん啼いている。嵐のような試練が降りかかってきたとしても、変わらずりんりん啼き続ける。雑草が必死になって生きてるって感じ。

疲れたりへこんだりしますよね。そんな時はどうされますか?

ものすごく疲れますし、へこみます。

ずっと家族が病気を抱える中で生きてきましたし。もう20年かな。家族全員が健康というのは、僕の人生ではないんですよね。小康状態とか寛解とかということはありますけど、どこかのスイッチが切れれば、一気に大変なことになっていきます。ただ逆に、そういう大変な時の方が俄然やる気になりますよね。魂がぐっとくるような。

大体へこんでいる時は、楽な時じゃないですか。僕の場合、今までは「仕事なんて、たかが仕事」と思ってたんですけど、最近は社員も増えて、だんだん背負うものも大きくなってきましたから、「されど仕事」と思う部分もありますが、へこめるというのは、ある意味平和な時であって、「たかが仕事」くらいにへこんでしまっていることが多いと思います。

ご家族が病気をされたということに、へこんでるわけじゃないんですね。

逆逆。そんな時こそ、すごい頑張る気持ちになります。大きな課題に取り組んでいる時って、へこまないですよ。へこんでられないし。

むしろそうじゃない時に、すこっと足元がすくわれるような、へこみとかがあるのかもしれないです。

そんな時はやる気スイッチを無理に入れません。酒飲んで寝る。歌を歌う。あとは一人になる。僕には一人になる時間がとても大事ですね。

毎日一人になる時間をとっていらっしゃるのですか?

一人になるっていっても、物理的に一人になるだけでは全然意味が無くて、自分との対話をぐっと深くするみたいな。本気でへこんでしまった時は、じっくりと自分と語り合いますね。

毎日やってる訳じゃなくて、へこんじゃったらやるってことですか?

何とかしてやる気スイッチを入れなきゃと思う時も、最初の一歩はそれかもしれないです。

ちなみに時間的にはどのくらい自分と対話するんですか?

長い時は3時間だったり、瞑想ではないんですけど、それに近いですね。頭の中でいろんなこと考えるんですよ。車の中だったり、酒を飲みながらの時もあるし、ベッドの中でじーと考えることもありますよ。

自己との対話を重んじるということです。

すごい、長い。忍耐強いのですね。

とっておきの場所やお店はありますか?

最近はマンダリンホテルが好きですね。ホテルなのに気取ってなくて、それでいてスマートな雰囲気とおもてなしが好きです。夕暮れ時の景色もいいですしね。

夕暮れ時に行って、まずバーに座って、日が暮れていくのを眺める。そしてほろ酔いになったころに食事に行くんですけど、その時間がすごい好きです。心地がいいんです。いい時間だなーと思います。

このthe switchは学び続け、進化し続けるビジネスマンに向けてという記事なのですが、何か一言いただけますでしょうか?

若い世代の人には学ばなくていいから感じて欲しいと思います。

僕は、極論を言えば人から学ぶことは無いと思うし、自分の子供も含めて、人にも学ばせようとはしていません。

貧しかった子供の頃、成功してきらきら光ってる人をみると、ものすごいパワーをもらいました。そういう人たちはやってることが大抵ハチャメチャだったりするんですが、皆自信のオーラがすごいんですよね。そういう囚われない自由さを持ってる人をみると、ちょっと胸がすくような感じがします。見ているだけで心がうきうきするような。

でも、その人たちから何かを学ぼうと思わなかったし、これからも学ぼうとは思わない。

でもやっぱり上を目指して歩いていく時に、そういう人たちの存在は必要です。そういった、ある意味で馬鹿で騒々しい人たちがいたから、こんな僕だって何かになれるかもって思って生きてきました。

日本の10代20代の若者にも、バカバカしいことを大騒ぎで真剣にやっている、格好良くてダサい大人たちのことを感じて欲しいと思います。

(撮影協力 本多佳子)